はじめに
身の回りの様々な場所で利用されている「火」ですが、中ではとても面白い現象が起きています。
前回の記事では、火炎の中の着火反応について取り上げました。今回の記事では燃焼形態の分類に着目したいと思います。

燃料の状態
燃料の状態は、気体、液体、固体の3つに分類することができます。そして燃料の状態は、燃焼の形態に大きく影響を与えます。
例えば、燃焼と聞いて私たちがイメージにする「火炎」は、気体燃焼でしか発生しません。ですが、固体燃料での表面燃焼のように、火炎が形成しない燃焼形態も存在します。
ここでは、燃料の状態ごとの特徴と、それらの燃焼の形態についてまとめます。
気体燃料
身の回りで最も目にするであろう燃料です。ガスコンロで使用している都市ガスやプロパンガスが代表例です。最近では、CO2の排出抑制の観点から水素やアンモニアといったカーボンフリー燃料の適用が検討されていますが、これらも気体燃料の一種です。
後述しますが、液体燃料や固体燃料においても、実際は界面で蒸発や昇華して気体の状態になってから燃焼することがほとんどです。そういう観点では、世の中の大半は気体の形で燃焼しているといっても過言ではありません。
液体燃料
持ち運びしやすいという利点を持つことから、主に乗り物に利用されることが多い燃料です。
身の回りでは自動車燃料のガソリン・軽油、舶用燃料の重油、航空機燃料のケロシンが代表例です。H3ロケットで使われている液体水素なども液体燃料に分類されます。
先ほど話した通り、液体のまま燃えるのではなく一度蒸発してから燃焼します。
工業的には、液体を霧吹きのように微粒化させて、蒸発しやすい液滴にしてから燃焼させたり、
ロウソクのように芯に液体をしみこませて、その先端から蒸発させて燃焼させることが多いです。
固体燃料
液体燃料と同様に持ち運びしやすく、比較的取り扱いが容易である利点があります。身の回りではロウソク、キャンプなどで使う薪、焼肉で使う木炭が代表例です。日本が保有するロケットの中でもイプシロンロケットで使用されているのは固体燃料です。
ロウソクのように、温めると液体そして気体へと相転移する燃料であれば、これまでに説明してきた原理と同じです。ですが薪の場合は温めても液体にはなりません。このような燃料の場合、2つの異なる燃焼形態が同時に発生しています。
1つ目が分解燃焼です。燃料の中に含まれる有機物が、加熱されることで熱分解してガスとして立ち上り、それが燃える形態です。キャンプなどで薪を燃やすと勢いよく火炎が立ち上りますが、これは分解燃焼によるものです。
2つ目が表面燃焼です。これは燃料の中に含まれる炭素分(固定炭素)が空気中の酸素と直接反応する形態です。気体として燃えるわけではないので火炎は発生しません。焼肉で使う木炭や、薪が燃えきる前の最後の燃え方が該当します。
火炎の分類
先に説明した通り、燃料の大半は気体の形になってから燃焼しています。そして気体燃焼の場合、必ず火炎を形成します。ここでは、燃料ガスと酸化剤の混ざり方に着目した火炎の分類について説明します。
拡散火炎
燃料と酸化剤を別々に流し、その境目に火炎が形成する形態です。
燃焼が起きるためには燃料と酸化剤が程よく混ざっていることが必要です。
別々に流すことで燃料側は燃料過濃、酸化剤側は燃料希薄となりどちらも火炎が形成できません。
したがって、火炎の形成位置が限定されるほか、火炎が伝播して別の場所に着火してしまうといった危険もありません。このように比較的安全に制御が可能であることから、家庭用、工業用の燃焼機器の大半は、この拡散火炎式を採用しています。
しかし、火炎が形成する場所が限定され、かつその場所は火炎にとって最も燃えやすい、程よい混合状態の場所で燃えてしまうため、燃焼温度が比較的高くなってしまいます。
燃焼によって生成する排出ガス中には、環境に悪影響を与える窒素酸化物(NOx)が含まれますが、NOxの多くは高温で燃えることで発生するため、あとで紹介する予混合火炎と比較してNOx排出量が比較的多くなってしまうというデメリットもあります。
予混合火炎
文字通り、燃料と酸化剤があらかじめ混ざった状態で燃焼する火炎形態です。
ガス同士がすでに混ざっているので、混合したガス全体に火炎が形成可能となっており、火炎は燃焼しながら伝播していきます。
その伝播速度とガスの流速が釣り合うと、火炎が一定の場所にとどまり続け、定常火炎を形成します。そしてそのままガス流速を上げていくと、やがて火炎が維持できず、下流に吹き飛んで消炎してしまいます。
なお、ガス流速より伝播速度の方が早い場合、火炎が燃焼機器側にさかのぼる逆火(フラッシュバック)と呼ばれる危険な現象が起きてしまいます。
メリットとしては、拡散火炎と異なりよく混ざった混合気中に火炎を形成するため、燃え残りや煤が発生しにくいほか、濃度を制御することで火炎温度を下げることができるため、NOx濃度を低減できることが挙げられます。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回は燃料の種類や流れ場の観点から燃焼形態の解説を行いました。
本格的に勉強したい方は以下の参考文献を読んでみてください。

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