オリフィスの計測原理と使い方

工学技術・理論
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はじめに

流体制御や流量計測で耳にするオリフィスの役割と、使い方について解説します。

非圧縮性流体への適用事例が広く紹介されていますが、この記事では圧縮性流体への適用事例についても紹介していきます。

そもそもオリフィスとは

オリフィスとは、以下の左図のような、円盤中央に孔の開いたプレートのことを指しています。
これを右図のように配管の途中に挟み込むことで、中の流体が中央の孔を通過して流れるようになります。

左図:フローエンジニアリング株式会社様HPより引用(https://floweng.co.jp/products/op.html
右図:昭和電機計装株式会社様HPより引用(https://showa-kk.com/product/fk-op

オリフィスの使い方

大きく分けて、①流量計測と、②流量制限で使われます。

流量計測用としての使い方

オリフィス孔を流体が通るときに流体は狭められるので、ベルヌーイの定理から流速が上がり、圧力が低下します。

事前に配管の直径と、オリフィス孔の直径、そして流体の密度がわかっていれば、差圧から流量を求めることが可能です。

非圧縮性流体のとき(水などの音速が早い流体、速度が遅い流体)

下図のような状態を考えましょう。配管内の流体が、絞られながらオリフィス孔を通過して元に戻ります。
よく見ると、オリフィス孔を通過した後も流体が絞られていることがわかります。これは流体の慣性のためで、実際はこのポイントが最小断面積となります。

同一流線に着目すると、ベルヌーイの定理から、

\(\dfrac{ρv_1^2}{2}+p_1=\dfrac{ρv_2^2}{2}+p_2\)

と書けます。

また、連続の式から、

\(v_1A_1=v_2A_2=v_*A_*\)

と書けます。

差圧を計測しているのはオリフィス孔を通過した後の最小断面積部付近なので、v*A*を用いて解くと、体積流量は

\(Q=A_*\sqrt{\dfrac{⊿P}{ρ\left(1-\left(\frac{A_*}{A_1}\right)^2\right)}}\)

となります。

ただし、先ほど図で示した通り、A*の計測は難しく、よくわかりません。
したがって、実用上はA*の代わりにオリフィス孔径A2を使って、それによって生じた差分を流出係数Cにすべて入れ込んでしまった、下記の形が一般的です。

\(Q=CA_2\sqrt{\dfrac{⊿P}{ρ\left(1-\left(\frac{A_2}{A_1}\right)^2\right)}}\)

このCは実験的に求められる値なので、厳密に使用する場合(検査や高精度な実験用)は、個別に流量検定(差圧と流量を実測してCを求める)をする必要があります。

ただ、工場やプラントの流量監視レベルであればそこまでの精度は要求されないことが多いので、一般にJIS Z 8762に記載されている通りオリフィスを製作・設置することで、既定の流量精度(約1%)を担保していることが多いです。

この場合、オリフィスの寸法や表面粗さだけでなく、設置条件(直管長やバルブ、エルボからの距離)が重要となります。

圧縮性流体のとき

流速が大きく、圧縮性を考慮しないといけない場合では、先ほどの式に膨張係数Yを加えた、

\(Q=CYA_2\sqrt{\dfrac{⊿P}{ρ\left(1-\left(\frac{A_2}{A_1}\right)^2\right)}}\)

で計算します。ここで、Yは、

\(Y = 1 – \left\{ 0.41 + 0.35 \left( \frac{A_2}{A_1} \right)^2 \right\} \frac{\Delta P}{\gamma \cdot P_1}\)

で近似できます。(γ:比熱比)

なお、流量が増えて差圧が大きくなってくると、最終的にはオリフィス部でチョークします。
チョークすると、下流圧に無関係に、上流圧だけで流量が決まるようになります。
このときの質量流量は、下記の式で計算可能です。

\( \dot{m} = \dfrac{P_0A}{\sqrt{RT_0}}\sqrt{γ(\dfrac{2}{γ+1})^{\frac{γ+1}{γ-1}}} \)

ここで、
\(R \rm{:}ガス定数\rm{[J/(kg・K)]} \) ←一般ガス定数を気体分子量で除した値
\(P_0 \rm{:}上流のガス全圧(流速0の時の圧力)\rm{[K]} \)
\(T_0 \rm{:}上流のガス全温(流速0の時の温度)\rm{[K]} \)

チョーク現象については、下記の記事を読んでみてください。
https://kikai-engineer.com/%e5%9c%a7%e7%b8%ae%e6%80%a7%e6%b5%81%e3%82%8c%e3%81%ae%e3%83%81%e3%83%a7%e3%83%bc%e3%82%af%e3%81%a8%e3%81%af/

流量制限用としての使い方

圧縮性流体の場合、流量を増やしていくことで最終的にチョークし、以降の流量は上流圧力で決まることがわかりました。

実はこの性質を使って、配管内の流体の流量を制限することが可能です。

例えば、高圧ガス設備のベントスタックを考えてみましょう。
ベントスタックとは、緊急時に高圧配管から屋外にガスを放出する煙突のような配管を指します。

例えば、充填圧力14.7MPaの水素ガスボンベから、内径50mmのベントスタックラインを通して水素ガスを排出する場合、なんと約72万Nm3/h(約18kg/s)という莫大な流量が流れます。
流速は音速に達しているので、摩擦による静電着火も懸念されます。

このようなときに、配管の途中にオリフィス孔を設けると、最大流量を制限することができます。例えば、流出係数Cを0.85として孔径5mmのオリフィスを設置した場合、最大流量は約6130Nm3/h(約153g/s)となり、配管内の流速は1m/s以下に抑えることができます。

プラントや高圧ガス設備の場合、設備の仕様から最大圧力が決まっているケースが多いですが、そういった場合、オリフィスを設けることで流量を抑制することができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。流体制御や流量計測で耳にするオリフィスの役割と、使い方について解説しました。

取り上げてほしい内容があれば、コメントからご連絡いただけますと幸いです。

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