
仕事で燃焼の知識が必要だから、おすすめの参考書を教えて!

大学のテスト対策におすすめの参考書を教えて!
この記事では、燃焼研究者である筆者がお勧めしたい流体力学の教科書を目的別に紹介します。
初めて燃焼工学を勉強する方むけ
燃焼現象の基礎 新岡嵩・河野通方・佐藤順一著
私が初めて購入した燃焼の参考書です。
日本を代表する燃焼関係者によって執筆、編著されており、理論的な背景だけでなく、具体的な事例をベースにグラフや図、写真も豊富に掲載されています。
よって、①初めて燃焼工学を学ぶ方、②基礎実験や計測手法の原理を知りたい方、③実用燃焼機器の設計、研究開発に従事している方など、幅広い層に対応した包括的解説書となっています。
燃焼工学 水谷幸夫著
「燃焼現象の基礎」よりも、教科書的な性格を持つ1冊です。
同軸噴流バーナーを用いた基礎研究から、工業炉やガスタービンのような実用燃焼まで幅広い実績を持つ著者による、一貫した解説が特長です。
数式を用いた説明もありますが、比較的平易な記載になっているので、流体力学を学んだ方であれば、抵抗なく読み解けるのではないかと思います。 ただ、初版が1977年と古いこともあり、一部の内容が最新の知見や解釈と反するところもあるので、研究用に使用したい方はご注意ください。
(これはすべての教科書に言えることですが。)
燃焼学 石塚悟著
2021年に初版発行された新しい教科書です。
上記2つよりも最新の知見(特に乱流燃焼)が載っているほか、巻末に理論的な解説が掲載されているため、CFDなどで燃焼の解析を行う研究者にとっても学びが多い教科書といえます。
もしより専門的な理論書が読みたい、という方がいれば、次に紹介する本をお勧めします。
燃焼の理論が知りたいという方むけ
Combustion Theory F.A. Williams著
燃焼理論の世界的名著であり、研究者のバイブルです。
(日本語版として、筑波大の柘植先生による翻訳版(燃焼の理論)が出版されています。)
ボリュームも600ページ以上あり、探している分野の解説はほぼ間違いなくあるといってよい完成度です。 燃焼の解析では、流体力学に基づく微分方程式系に、化学反応速度を制御するアレニウス項が含まれますが、これが温度の指数関数のため、非線形性が極めて強く、ある特定の温度で爆発的に発散して、解の成立を極めて不安定にさせます。
著者のF.A. Williamsはこの方程式系の解析に漸近解析と呼ばれる手法を導入し、物理的な考察に基づく理論解(近似解)の導出に成功しました。
化学反応×流体力学
反応系の流体力学 植田利久著
個人的に「かゆい所に手が届く1冊」だと思っています。
世の中には、流体力学の解説書や熱力学の解説書は数多く存在しますが、燃焼の数式を理解するためには、これらの知識だけでなく、“多成分系の取り扱い方”、“拡散理論”に慣れておく必要があります。
ですが、大学の授業ではこれらがちょうど抜け落ちていることも多く、そのギャップから理解が難しいと感じている方も多いように思います。そういった方にとって、この教科書はうってつけといえるでしょう。
また、実用燃焼器を設計・利用している方は、業務で熱収支や1段反応の比較的平易な計算を使用する機会が多いと思いますが、本書で触れられている物性値の平均化や、反応式の取り扱い方が、非常に役に立つと思います。
自動車向けエンジン×計測
エンジンの計測とシミュレーション(自動車工学シリーズ 6) 宮川 浩、小池 誠著
豊田中央研究所が監修している、自動車向けエンジンの計測とシミュレーションについてまとめられた1冊です。
自動車のエンジンに直接関係のない方でも、本書の後半にある計測のコンフィグレーションやシミュレーション手法の内容が役に立つと思い、ノミネートしました。
面白い読み物
ろうそくの化学 M. Faraday著
電磁気学や化学の分野で有名なファラデーによって著された古典的名著です。
ろうそくが燃える現象を多角的な視点で観察することで、化学、燃焼、熱力学などのエッセンスを紐解いていきます。
どういった現象が起きているか、という理解にももちろん役立つのですが、科学者としての着眼点や考察の深さ、証明方法のセンスに脱帽させられます。そういった意味で、ある程度燃焼を学んだ人にも、新たな気付きが得られる1冊だと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。 このほかにも取り上げてほしい内容があれば、コメントからご連絡いただけますと幸いです。

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